機械式時計はなぜこれほどまでに価格が高いのでしょうか。数百万円~数千万円というとんでもない価格の時計もあります。それらの時計は、メンテナンスを怠らなければ、一生涯使い続けることができることができますし、場合によっては何代にもわたって受け継ぐことすら可能です。
当然様々な機能が付与されればそれだけ機構が複雑になり、値段が高くなります。ストップウォッチ機能をもつクロノグラフ、日付を表示するカレンダー、月齢を表示するムーンフェイズなどがあります。
実はいくつかある機能のなかでも、飛び抜けて複雑で付加価値が高い三大複雑機構と呼ばれる機能があります。
- パーぺチュアルカレンダー
- トゥールビヨン
- ミニッツリピーター
です。これらは機械式時計のなかでも最高峰の機構と言われており、価格も桁違いです。どんな機構なのか見ていきましょう。
パーペチュアルカレンダー
永久カレンダーとも言いますが、日付を表示することに関する機能です。
機械式時計でも、日付を表示する機能が付いているものは多くあります。トリプルカレンダーと言われる、月、日付、曜日を表示する機能が付いているものもあります。一般的な時計に使われている日付表示機能は1日から31日を順に表示しますが、31日が存在しない2/4/6/9/11月の場合はどうしても日付がずれてしまいます。よって自分で1日日付を早める必要があります。また4年に一回訪れる閏年も修正が必要です。
パーペチュアルカレンダーは月による日数の違いや、4年に1度の閏年の調整などを自動的に行うカレンダー機能です。この機能は永久カレンダーとも呼ばれています。
4年に一度の閏年に対応するということは今が何年なのかがわかる必要があります。つまり永久カレンダーは必ず、年表示されているということです。
トゥールビヨン
トゥールビヨンは、もともと長時間ポケットに入れている懐中時計を想定した機構です。時計の姿勢が一定だと重力の影響を受けてしまうことを解消すべく作られた機構です。
実は、腕時計はつけているだけで時計の向きが変わるので重力の影響は分散されるため、姿勢差による精度の誤差は、影響が少ないようです。実際のところトゥールビヨンは不必要とも言えます。しかしトゥールビヨンは、機械式時計の心臓部である調速機や脱進機の動きに大きく関わり、その複雑な動きが見えることに大きな価値があると言えます。
ミニッツリピーター
音で時間を知らせる機能です。かつて、街灯がなかった時代に、暗闇でも音で時刻を確認できるようにしたものです。腕時計サイズの中に音を鳴らすパワーのある動力と鐘、鐘を鳴らすハンマーを入れることは至難の技です。
2種類の音色の鐘が付いており、1種類目の鐘のなる回数で何時かを、2つの鐘を同時にならすことで15分ごとの時間を知らせ、もう1種類目の鐘のなる回数で、何分かを知らせます。何時+15分+何分という形で時を知らせます。
トゥールビヨン、パーペチュアルカレンダーに比べてもより複雑な機能であり、最も高価な機構と言っても過言ではないでしょう。